USDAとは?
2022年11月18日、カルダノの創設団体の一つであるEMURGOは、米ドルとペグする新しいステーブルコインUSDAのローンチ計画を発表しました。USDAは、完全に法定通貨に裏付けられ、規制に準拠している、カルダノ上の初のステーブルコインです。
USDAは、Web3企業と消費者を仮想通貨市場の激しい変動から保護するように設計されており、米ドルの安定性と、カルダノのセキュリティ・安い手数料・環境に優しいブロックチェーンを組み合わせて活用しています。この新しいステーブルコインは、米ドルと 1 対 1 で連動することにより、投資家の仮想通貨の価値を固定し、ボラティリティを低減し、従来の銀行や支払い機関の遅延なしに、高速な取引を可能にします。
EMURGOは、アメリカに本拠を置く規制対象の金融サービス会社と提携して現金預金を管理し、ステーブルコインが規制ガイドラインに完全に準拠し、遵守していることを保証しています。”現実世界の”資産に支えられたUSDAは、強力で長期的な価格安定性を提供し、最終的にはより信頼性の高い金融サービスをカルダノエコシステムにもたらす可能性があります。
またUSDAは、従来の金融(TradFi)とDeFiの間のギャップを埋めることを目的とした”Anzens”を通して市場にリリースされる最初の製品です。このステーブルコインは、Anzensプラットフォームまたは任意のカルダノ上のDEX (分散型取引所) を通じて取得できます。
Anzens(アンゼンズ)とは?
Anzens(アンゼンズ)は、従来の金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)の間のギャップを埋めることを目的としたEMURGOの新しいプラットフォームです。
USDA必要な3つの理由
1.投資家の信用
ドルに裏打ちされたステーブルコインは、「現実世界」の資産に裏打ちされていないアルゴリズム型のステーブルコインよりも信頼性の高いアプローチと言えます。
ドルに裏打ちされたステーブルコインのアプローチは、カルダノコミュニティに価格安定性をもたらし、カルダノへ参入している投資家の信頼を向上させる可能性があります。
これは特に、突発的なボラティリティが発生する時期に当てはまります。 極端な市場の低迷時に一時的に価格がペグから外れても、ドルに裏打ちされたステーブルコインは理論上、市場が安定するとペグは戻るので、投資家はそれほど怖がることはないでしょう。
2.安定した金融サービスの提供
カルダノにおけるステーブルコインの主な目的の1つは、取引を促進することです。
ドル建てのステーブルコインは、カルダノエコシステムへ安定性と価値の保存を提供するでしょう。 その結果、安定したレンディングやスワップなど、より信頼性の高い金融サービスをカルダノエコシステムに提供することができるようになります。
3.アルゴリズム型ステーブルコインの将来
ステーブルコインには長所と短所があり、バランスを取ることが重要です。カルダノエコシステムでステーブルコインを選ぶ際には、脆弱性と迫り来るステーブルコイン規制を考慮することが大切になってきます。
2022年5月のLUNAの破綻は、アルゴリズム型ステーブルコインの規制強化の下地となり、特にアメリカではこのタイプのステーブルコインの将来性は不透明です。また、DjedのようなCardano上のアルゴリズムステーブルコインはローンチ時に、アメリカを含む数ヶ国がプラットフォームにアクセスできない可能性が高いです。
USDAの5つのユースケース
1.カルダノ投資家の出口戦略として
世界の投資家やトレーダーが自身のポートフォリオに暗号通貨を素早く取り入れたことにより、暗号通貨は急成長を遂げることができました。暗号通貨取引所は、仮想通貨およびブロックチェーン業界における最初の実用的な製品の1つです。
多くの場合、ユーザーは民間企業が運営する中央集権型の取引所を利用し、そこに法定通貨を預けて仮想通貨を売買し、最終的に銀行口座に引き出しています。当初、分散型取引所(DEX)では法定通貨に接続する規制された方法がなかったため、これを避けることはほとんど不可能でした。
その代わりにステーブルコインの人気が高まりました。ステーブルコインを使えば、投資家やトレーダーはDEXのメリットを享受しながら、法定通貨の価格に固定されたステーブルコインを使用することができます。
このように、ステーブルコインは投資家やトレーダーにとって効率的な出口戦略として機能します。
2.発展途上国の人々にとってより良い価値貯蔵手段
ステーブルコインは、特定の発展途上国において、貯蓄の新しい方法としても利用されています。ほとんどの発展途上国では、銀行や金融サービスは富裕層向けの都心部に集中しています。
これらの国では、自国通貨の弱さや政府の政策の一貫性のなさから、インフレが頻繁に発生することがあります。また、これらの国の政府は一般的に資本規制を導入し、地元住民の購買力を守るためにドルやユーロの購入を防いでいます。
カルダノは、インターネットにアクセスできるスマートフォンを持っているだけで、必要な人すべてに金融サービスへの公平なアクセスを提供することを目的としています。
世界中の多くの人々が暗号通貨とその利点を認識するようになり、低開発国や発展途上国の住民は、インフレに対するヘッジや貯蓄を増やすために、ステーブルコイン取り入れ始めています。
3.決済システムのために
決済は、仮想通貨業界にとって、つかみどころのない、しかし明確なユースケースでした。
暗号通貨はボラティリティが高く、従来のビジネスオーナーや人々にとって魅力的ではありません。暗号通貨のように支払いとして受け取るものが大幅に上下する場合、価値を予測することが困難なこともあり、つかみどころのないものとなっています。
そのため、仮想通貨で直接支払われる商品やサービスはほとんどありません。それでも、世界230の国と地域で300万以上の旅行商品を扱うブロックチェーンベースの大手旅行予約プラットフォーム「Travala.com」などで、カルダノ(ADA)のような仮想通貨での支払いを受け付けるサービスは増えてきています。
しかし、今やステーブルコインは、価格変動に伴うすべての問題を解決するため、デジタル決済のユースケースを完璧に満たしています。
仮想通貨を受け取って商品やサービスを購入した場合、受け取った仮想通貨をすぐにステーブルコインに交換し、後で法定通貨と交換することもできます。また、仮想通貨をステーブルコインに交換し、それを商品やサービスの支払いに利用することもできます。
受け取った各ステーブルコインは法定通貨と交換できるため、人々はステーブルコインの利用を信頼することができます。
さらに、カルダノブロックチェーンを使えば、より低い手数料で、より高い透明性と安全性を確保できるというメリットもあります。
4.国境を越えた送金
上記の例と同様に、国境を越えた送金は暗号通貨とブロックチェーンの自然なユースケースであるべきですが、価格変動の激しい資産を受け取りたいと思う人はほとんどいません。
国境を越えた送金の多くは、裕福な国で働く人々が家族や友人を助けるために行う故郷への送金です。このことも考慮すると、ボラティリティの激しい仮想通貨は国境を越えた送金には不向きだと言えます。しかし、ここでステーブルコインが活用できます。
USDAを使えば、より速く、より安い手数料で、より高い透明性のある環境でお金を動かすことができる、より便利な国際送金システムとして機能し、国境を越えた取引の受取人の手に、より多くのお金を残すことができるのです。
5.エスクロー
USDAは、スマートコントラクトが使用可能です。
スマートコントラクトを活用すれば、第三者をはさむことなく、エスクロー機能を自動化することができます。当事者は、スマートコントラクトにプログラムされた契約条件に従うだけです。
これにより、大規模な取引に関わる当事者の手数料を削減できるほか、スマートコントラクトを自由に監査できる透明性を提供することができます。
USDAの将来
USDAはカルダノのネイティブトークンです。そのため、単純な送受信ではスマートコントラクトが必要ない上、ADAと同レベルの安全性も備えることになります。(より理解を深めたい方はこちらもご覧ください)
ステーブルコインを保有するのは、価格安定性を求める人、つまりリスクを取りたがらない人が多いです。その人達にとって、ADAと同レベルの安全性を備えているというUSDAの特徴はかなり強みなはずです。また、ローンチからしばらく時間が経ち、USDAの信頼性が築かれるとUSDTやUSDCなどの大手ステーブルコインからUSDAへ乗り換える人が徐々に増えてくるでしょう。
さらにUSDAは、価格安定性の観点から、カルダノ上のDEXのイールドファーミングと流動性の機会を増やすこととなります。各種DEXから「ADA / USDA」など、よりADAホルダーが参加しやすいペアが出てくると思います。
上記の2点である「USDAの信頼性の確立」と「DEXの成長」が重なると、カルダノDeFi上に他のDeFiから資金が流れ込んでくる可能性があります。
現在、イーサリアムなどのDEXでファーミングやレンディングをしている人が多いです。
カルダノDEXのファーミングの種類が増えたり、カルダノエコシステムが成長しプロジェクトのコインの種類が増えたりすることで、カルダノ上のDEXが成長してくること、USDAのホルダーや利用場面が増え、USDAの信頼性がユーザーに浸透してくること、この2点を満たすと、イーサリアムなどのDeFiから徐々にカルダノのDeFiに資金が流れ込んでくるでしょう。
参考文献
EMURGO Introduces First USD-Backed Stablecoin for the Cardano Ecosystem
EMURGO Fintech on January 2022 #Cardano360 Episode: Your FAQs Answered
Cardano 101: What is a Cardano Native Token or Asset? + What it Means for the $USDA Stablecoin
5 Examples of How Stablecoins Could Be Used by the Cardano Community
Top 3 Reasons Cardano Blockchain May Need a Stablecoin Backed by Dollars
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