カルダノ(ADA)ロードマップについて解説

カルダノについて

CARDANOとは

Cardano(カルダノ)は革新的なプルーフオブステークブロックチェーンネットワークであり、マルチアセット台帳および検証可能なスマートコントラクトを備えた分散化アプリケーションを開発するためのプラットフォームとして開発されています。保証性に優れた形式手法を用いて構築されたCardanoは、実用性のあるアプリケーションに必要とされるスケーラビリティ(拡張性)、インターオペラビリティ(相互運用性)、サステナビリティ(持続可能性)を実現することを目指しています。Cardanoは、未来の経済を支える大規模かつ経済にとって無くてはならないようなDAppsに最適なプラットフォームとして設計されています。

CARDANOロードマップとは

CardanoロードマップはCardano開発の概要を示すものです。Cardanoの開発は、Byron(バイロン)、Shelley(シェリー)、Goguen(ゴーグエン)、Basho(バショウ)、Voltaire(ボルテール)の5期に分かれています。各開発期は特定の機能に基づいて設けられており、この機能は複数回に分けてリリースされます。

Cardanoの各開発期は順を追って配信されますが、開発作業は並行して行われています。研究、プロトタイピング、開発、が異なる開発ラインで同時に進行しているケースが多々あります。

CARDANO開発期

BYRON|基礎

Cardanoは学術研究、査読、厳密な形式手法に基づく開発モデルにより築き上げられた、第三世代ブロックチェーンです。2015年、全ブロックチェーンネットワークが直面していた3つの課題である、スケーラビリティ(拡張性)、インターオペラビリティ(相互運用性)、サステナビリティ(持続可能性)の問題を解決するというビジョンから物語は始まりました。何千にも及ぶGitHubコミット、何百時間もの研究を経て、2年後の2017年にようやくCardanoの最初のビジョンが形となり、Byron期が始まりました。

Cardanoが実体化したことにより、ユーザーは、画期的なOuroboros(ウロボロス)コンセンサスプロトコルを実行するネットワーク上で、革新的なプログラマー、エイダ・ラブレスにちなんで名付けられた暗号通貨ADAの売買を行うことができるようになりました。Cardanoネットワークの中枢であるOuroborosは、学術研究を基盤に構築された最初のプルーフオブステークプロトコルであり、数学的に保証されたセキュリティを誇ります。

Byron(バイロン)期には、IOHKのADA用公式デスクトップウォレットであるDaedalus(ダイダロス)ウォレット、および、IOHKのパートナーであるEmurgo(エマーゴ)が迅速なトランザクションと日常的な使用を可能にすることを目的に開発したライトウォレット、Yoroi(ヨロイ)もリリースされました。

Byron期は最初の技術開発期として位置付けられますが、同時に未来のブロックチェーンを生み出す人々が集まるコミュニティが形成された時期でもあります。Cardanoは熱狂的なファンからなる小さなグループからグローバルコミュニティへと成長を遂げました。今やADAは30を超える取引所で扱われ、その時価総額から世界レベルの暗号通貨として認められています。

SHELLEY|分散化

Byron期に続く Shelley(シェリー)期は、ネットワークの成長と発展の時代です。メインネットの公開という1つの事象から始まったByron期とは異なり、Shelleyへの移行はサービスの中断を招くことなくスムーズに低リスクで行われるようにデザインされています。

Shelley期はCardanoが分散化を最適化するまでに必要となる初期の重要なステップを網羅しています。Byron期のネットワークは中央集権的でしたが、Shelley期にはより多くのノードがCardanoコミュニティによって実行される方向にシフトしていきます。ノードの過半数がネットワーク参加者により実行されるようになれば、Cardanoは分散性を高め、結果として安全性と堅牢性が高まります。

Shelleyではまた、委任およびインセンティブスキームも導入されます。ステークプールとコミュニティによる運営を促進する報酬システムです。プルーフオブステークネットワークでは、ユーザーは自分のADAを賭けてネットワークに参加します。ゲーム理論とプルーフオブステークネットワークに関する最新研究を使用してきめ細やかにデザインされた委任およびインセンティブスキームにより、ユーザーはコミュニティにより実行される常駐のネットワークノードであるステークプールに自分のステークを委任し、ネットワークに誠実に参加することによって報酬を得ることができます。

Shelley期が終了するまでに、Cardanoは他の大規模なブロックチェーンに比べて50~100倍分散化され、1000程度のステークプールで平衡状態に達するようにデザインされたインセンティブスキームを有すると期待されています。現在の主なブロックチェーンネットワークは10に満たないマイニングプールにコントロールされていることが多く、悪意のある行動により侵害される深刻なリスクにさらされています。Cardanoは、そもそも大規模な分散化を促進するためにデザインされたシステムによりこれを回避します。そればかりでなく、Cardanoネットワーク全体がプルーフオブワークブロックチェーンに比べてほんのわずかの電力で賄うことができます。これは、小さな国にかかる電力の代わりに、カルダノネットワークでは、家1件分の電力程度で済むと言っても過言ではありません。

Shelley期はネットワークの自然な成熟期を顕わしています。実用性と報酬が増し、新規ユーザーにとっても従来のユーザーにとっても価値が高まります。さらにこの時期は将来に向けた準備期間でもあります。Shelleyが完全に分散化されたネットワークの素地を作り、Goguen、Basho、Voltaireの各期とともにまったく新しいアプリケーションのエコシステムが到来するのです。

GOGUEN|スマートコントラクト

スマートコントラクトの統合により、Goguen(ゴーグエン)期はCardanoネットワークにおける機能性が大きく発展します。Shelley期でシステムの中核が分散化されたのち、Goguenでは、査読を受けた研究と保証性の高い開発手法により裏打ちされた強靭なCardanoという基盤に、分散型アプリケーション(DApps)を構築する機能が追加されます。

Goguenの開発はShelleyと並行して行われています。完成の暁には、ユーザーはその技術的な素養の有無にかかわらず、Cardanoネットワーク上で関数型スマートコントラクトを作成、実行できるようになります。Goguen期の目標の一つにPlutus(プルータス)の構築があります。これはスマートコントラクト専用の開発言語であるとともに、関数型プログラミング言語Haskellを使用した実行プラットフォームでもあります。Plutusは既にテスト段階に入っており、関数型プログラミングのメリットをもつスマートコントラクトの作成を可能にします。Plutusは、オンチェーン、オフチェーンのコンポーネント両方を1つのコードベースでサポートします。そのため、既存のスマートコントラクト実装に比べて一貫性と開発における有用性が向上します。

Goguen期はまた、金融やビジネスの関係者が技術的知識がなくともスマートコントラクトを作成することを可能にするMarlowe(マーロウ)を使用して、Cardanoユーザーの可能性を広げることも視野に入れています。Marloweは、Plutus上に構築された、金融コントラクト用の高次のドメイン固有言語(DSL)です。Marloweには、プログラマーでなくとも金融関係のスマートコントラクトを簡単に構築できるアプリケーション構築プラットフォーム、 Meadow(メドウ)が搭載されています。MarloweとMeadowにより、金融アプリケーション用スマートコントラクトの作成が簡易化され、業界の専門家がプログラミングの専門的なスキルを必要とせずに、直接携わることが可能となります。PlutusとMarloweを組み合わせることで、現実世界における大規模な実装をサポートすることができる、実証された機能を持つエンタープライズレベルのスマートコントラクトという新たなカテゴリーが生み出されます。

スマートコントラクトという形式の新たな機能性が加わると同時に、GoguenではCardanoの核となる機能性の改良も行われます。特筆すべきは、Cardanoの有用性をさらに拡大するマルチアセット台帳の追加です。これによりユーザーは、ネイティブに対応する新トークンを作成することができます。Cardano上での新規暗号通貨作成、多種のデジタルおよび物的資産のトークン化がサポートされることから、代替可能トークン、代替不可能トークンの作成が可能となります。また、複数の暗号通貨が絡むスマートコントラクトとDAppsの統合が簡易化するという利点もあります。

Goguenは、エンタープライズレベルの、ミッションクリティカルな、分散型スマートコントラクトアプリケーション開発への道を開く、Cardanoの機能性における大変革期です。そして、さらにエキサイティングな機能性が、Basho(バショウ)、そしてVoltaire(ボルテール)期とともに到来します。

BASHO|スケーリング

Basho(バショウ)期は最適化、スケーラビリティの改良、そしてネットワークの相互運用性の開発期です。これまでの開発期が分散化と新たな機能性に焦点を当てていたのに比べ、Bashoでは規模の拡大と大量のトランザクションを伴うアプリケーション導入のサポートを強化するために、Cardanoネットワークの基盤となるパフォーマンス改善に注力します。

Bashoの核となる開発に数えられるのがサイドチェーンの導入です。Cardanoメインチェーンと相互運用性を持つ新たなブロックチェーンで、ネットワークの機能性拡張に多大な潜在性を秘めています。ネットワークのキャパシティを拡大するため、メインチェーンからサイドチェーンへ仕事を移すことにより、サイドチェーンはシャーディングメカニズムとして機能します。 また、メインブロックチェーンの安全性に影響することなく、新機能を実験的に導入する際にも活用できます。

Bashoではまた、アカウントモデルを並行して機能させられるようになります。CardanoメインブロックチェーンがUTXOモデルを継続する一方で、サイドチェーンを使用することによりアカウントベースモデルを追加し、UTXOと切り替えて使用することが可能になります。この結果、Cardanoの相互運用性が飛躍的に高まるとともに、ネットワークで新しいタイプのユースケースをサポートすることも可能となります。

総括的に言えば、Basho期において、Cardanoは業界屈指のパフォーマンス、強靭さ、そして柔軟性を誇るブロックチェーンプラットフォームへと成長します。そしてネットワークインフラストラクチャーはサステナブルかつ安全に拡大し、ネットワークの中枢における信頼性を損なうことなく新たな機能性を追加する能力を得るのです。

VOLTAIRE|ガバナンス

Voltaire(ヴォルテール)期には、Cardanoネットワークが自立型システムとなるために必要とされる最後のパーツが組み込まれます。投票システムとトレジャリーシステムの導入により、ネットワーク参加者はステークと投票権を使って、ネットワークの将来の開発に影響を及ぼすことができるようになります。

Cardanoネットワークが真に分散化されるためには、Shelley期に導入された分散型のインフラストラクチャーのみではなく、長期にわたる維持と改良を分散化された方法で行うことができる機能も必要です。これを目標として、Voltaire期では、ネットワーク参加者にCardanoの改良案を提示する能力が付与されます。提案は、ステーキングや委任に使用される既存のプロセスを活用した、ステークホルダーによる投票システムにより実行の可否が決定されます。

将来のネットワーク開発の資金源として、Voltaireではトレジャリーシステムも追加されます。すべてのトランザクション手数料からわずかな額ずつがプールされ、そこから、投票プロセスに従って決定された開発のために資金を提供します。

投票システムとトレジャリーシステムが搭載されてはじめてCardanoは真に分散化を果たし、IOHKの管理下から離れることになります。つまり、未来はコミュニティの手にゆだねられます。そしてその手にはIOHKによって確立された、安全で分散化された基盤から、Cardanoを成長・進化させるために必要なすべてが握られているのです。

参考文献

Cardano Roadmap

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